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早春に見頃を迎えるコブシは、昔から春の訪れを知らせる花として知られています。モクレンの仲間であるコブシは上品な花を咲かせ、庭木としても人気がありますね。
ここでは、コブシの育て方について詳しく紹介していきます!
コブシはモクレン科モクレン属に属し、日本では北海道から九州地方まで全国的に自生している落葉高木です。全国ではさまざまな呼び名があり、コブシは農諺木(ノウゲンボク)でもあることから農業に携わる人々の間では「田打桜」「種蒔桜」などと呼ばれています。
農諺木とは農作業の目安とされる樹木のことで、昔からコブシの花が咲く頃に種まきや田植えを始めていました。
コブシの開花時期は暖かくなる3~4月頃で、花径約7~10cmの白色やピンク色の花を咲かせます。花びらは6枚、樹高は8~10m程度で、コブシとハクモクレン(白木蓮)はモクレンの仲間なのでよく似ていますが、ハクモクレンの花びらは9枚なので花びらの枚数で見分けることができます。
コブシは生育が旺盛で暑さと寒さに強いので、初心者の方でも育てやすい植物です。
コブシの植え付けは、落葉する1~3月頃を目安に行います。土に穴を空けて、穴の底に元肥や腐葉土などを敷き詰めてから植え付けしてください。
コブシは日当たりがよい場所を好むため、日の光が十分当たる場所で育てましょう。育てるとどんどん大きくなるので、広い場所で育てることが重要です。
また、コブシは鉢植え栽培には向かないため、庭などの地植えで育てます。
コブシを育てる土は、栄養と湿気に富んだ腐葉土などがおすすめです。
コブシは、花が咲き終わった5月頃と冬眠する冬の時期に寒肥を施しましょう。
高温多湿な夏の時期には、コブシの株元にたっぷり水を与えましょう。植え付け後は土の表面が乾いたら水を与えますが、しっかり根付いたようであれば夏以外の時期は水やりする必要は特にありません。
コブシの植え替え時期は、植え付けと同様で休眠期の1~3月頃です。コブシは一度植え付けると移植を好まない植物なので、根の部分を切り落とさないようにしながら根鉢を約1/3崩して植え替えます。
コブシは耐寒性がありますが、寒い地域ではこの時期に植え替えすると枝が枯れてしまうことがあります。そのため、暖かくなる4月中旬以降に植え替えの作業をすることをおすすめします。
コブシの剪定は、一般的に休眠期の11~3月頃に行います。コブシは自然に樹形が整うため必ず剪定が必要というわけではありませんが、剪定する場合は剪定ノコギリや剪定バサミを使用して作業してください。
コブシの剪定には強剪定と弱剪定があり、強剪定では太い枝を中心に切り落とすことで樹形を整えていき、弱剪定では細かな枝を切り取っていきます。
コブシの場合は強剪定で強く切り過ぎてしまうとかえって沢山の枝が生えてしまうため、一気に強剪定するよりも定期的に剪定したり弱剪定するようにしましょう。
植物の増やし方にはいくつか方法がありますが、コブシの場合は種まきで増やすことができます。
コブシは9月頃に赤色の実ができ、完熟することで黒色に変色するこの時が種を採取できるタイミングです。1週間ほど実を日陰の風通しのよい場所に保管しておくと皮の中から赤色の実が出てくるので、赤い実を剥いて小さなハート型の種子を取り出します。
種を水に浸して綺麗な状態にし、その後バットの中や地面などに種子をばら撒いていきましょう。コブシは生育が遅く、種まきしてから花が咲くまで5~7年程度かかるといわれています。
コブシの種は秋の時期に採種し、種が乾燥しないように保存しておいて暖かくなる翌年の3月以降に種まきします。とくに、9~10月頃が種まきに最適な時期です。
コブシは冬の時期に冬眠するため、冬越しはとくに必要ありません。
コブシは、6~7月頃にかけてうどんこ病にかかりやすいです。うどんこ病とは土や落ち葉などから糸状菌に感染し、葉全体がうどん粉をまぶしたように白い斑点ができる病気のことです。
対策としては、うどんこ病にかかった葉は切り落として焼却しましょう。葉を切り落としたくない場合は、重曹スプレーや食酢スプレーなどを吹きかけて様子を見てください。
また、コブシはテッポウムシやカイガラムシなどの害虫も発生しやすいです。テッポウムシとはカミキリムシの幼虫のことで、コブシの木の内側に入って食害します。
一方、カイガラムシは5~8月に発生し、コブシの枝や葉などに寄生して養分を吸い取ってしまいます。これらの害虫を見つけたら、殺虫剤で駆除しましょう。
コブシは、花を沢山咲かせた翌年は花を付けない隔年開花という現象が起こることがあります。その場合は、落葉した後の冬の時期に花芽を見つけて半分程度摘み取ってください。
全体的な花の量を少なくすることで、翌年も花を咲かせることが期待できるでしょう。
また、花が咲かない原因として適切ではない時期に剪定したことも考えられます。コブシは7月以降に枝先に新しい花芽を付けるので、この時期に剪定すると新しい花芽を取り除いてしまう可能性があります。
きれいな花を咲かせるためにも、適切な時期に剪定しましょう。
コブシは落葉高木なので、庭木としてはもちろんシンボルツリーとしても楽しめますね。早春にきれいな花を咲かせるので観賞も楽しめ、きちんと手入れすることで毎年花を咲かせます。
興味があればご自宅のお庭などでコブシを育ててみましょう。
GreenSnap編集部