釣舟草(ツリフネソウ)

野山の沢沿いや森陰の湿った草むらに群生するツリフネソウ科の１年草。秋に舟を吊ったような紅紫色の花をつける。距(きょ💬花冠や萼の一部が管状に突出したもの)は著しく後ろに突き出て渦巻き状になる。ここに蜜があるので蜂が潜り込む。

釣舟草は園芸植物のホウセンカと同じ仲間で、この仲間を総称してインパチェンスと呼ぶ。インパチェンスは『我慢できない』というラテン語からきていて、この仲間の果実が熟すと軽く触れただけで弾け飛ぶ様子を表したもの。この仲間の果実は熟すとたっぷり水を含んで膨張し、種子を包む実の内側に圧力がかかり、耐えきれなくなった瞬間、爆発的に実が割れ、その力で中の種子が飛び出す仕組み。

名前の由来は、花の形が吊り下げた帆掛け船に似るから。あるいは、花がぶら下がっている姿が花器の『釣舟』に似るから。花器の『釣舟』は、舟の形をしていて天井から鎖を垂らして吊る。

出典『日本の野草』『里山さんぽ植物図鑑』