短編小説
「パトロール」

今朝わたしはインターホンの音で目覚めた

そこには何故か、警官姿の男の人が立っていた

咄嗟にわたしは自分の記憶に

「悪事」

というフィルターをかけて検索してみたが

思い当たりすぎて選べない


庭で ケムシやゲジゲジを見つけた時
3軒隣、その向こうの大通りにブッ刺す
サバローのレーザービームを
ここの住人に見られて
通報されてしまったのだろうか

それとも
隣のマンションまで伸びたままなのに
面倒くさくて放ってある
きゅうりの蔓を
とうとうチョンパする時が来たのだろうか

それともーー…


幸い、この珍しい訪問者の用件は
そのどれにも当てはまらなかった

「西署の者です。赴任してきて、この辺りを順番にパトロールしてるんですが、何かお困りの事はありませんか？」

「…うどん粉病…」

「はっ？」

「いえ…何でもありません。ご苦労様です」

そして玄関先のグリーンに気が付いた彼は
（セルリアとリューカデンドロン）

「これは…盆栽というやつですね？」

「💧はい。盆栽です」
（次のお家へどうぞ。という隠語のつもり）

「これは何ですか？」

「クルミの殻ですよ」
（帰ってくれ）

「なんでクルミの殻を？」

「マルチングです」
（これ以上しつこく聞いてくるなら、今から一緒に庭で剪定と落ち葉拾いしてもらいますよ？）

「じゃ、何かありましたらお気軽に」
👮*･ﾟ✽.｡.:👮*・ﾟ ✽.｡.:👮*・ﾟ  ✽.｡.:👮*
（去っていくあの人）



お気軽に
「一人じゃ大変なので庭掃除一緒にしよ？」

とは言えませんわね…オホホ