それは、突然の出来事だった。
「芸人やめるから」
「お前はもう一人前だ」
「私のことは忘れてくれ」
要約すると、だいたいこんな内容のキタナイ字の書き置きを残し、ある日突然、師匠は彼の元を去った。
茫然自失の彼、紫帝玉は
「二代目エリマキ」として華々しいデビューを飾ったものの、どこか虚しい毎日を送っていた。

そんなある日、彼はとあるクラブの存在を風の噂で聞いたのである。
どうやら、そこでは女装の麗人(帝玉)が、夜な夜なショーに飛び入り参加し、喝采を浴びているらしいことを。
もしや⁉️！Σ(￣□￣;)

紫帝玉はわずかな望みをかけ、きらびやかで猥雑な夜のネオン街の片隅にひっそりと立つ、そのクラブ
「月世界」
の扉の前に立ったのである。
　　　　続く