羅生門蔓(ラショウモンカズラ)

シソ科ラショウモンカズラ属の多年草。山地のやや明るい林内に生える。葉は卵心形で対生し縁に鋸歯がある。花期は４～５月。茎は高さ２０～３０㎝で斜上し、長さ約５㎝の紫色の唇形花が片方を向いて並んで咲く。花には毛が多い。花の下唇は３つに分かれ、中央のものは大きく、濃紫色の模様がある。花を終えると走出枝を長く伸ばし子苗を作って殖える。草全体にさわやかな香りがする。

羅生門とは平安京の正門のことである。朱雀大路の南側の端にあった。二重閣の瓦屋根造りの建物があり、そこに鬼が住み着いていたという。その鬼は悪さをして、人々を困らせていた。そこで、平安時代中期の武将・源頼光の家臣である渡部綱が羅生門に乗り込み、鬼と戦い、鬼の腕を切り落として持ち帰った。その鬼の筋骨隆々な腕に似ている花を咲かせるのが本種である。茎がつる状に伸びるので、つる性の植物を意味する『蔓』を借用し、ラショウモンカズラの名前がついた。

出典『里山の植物 ハンドブック』『色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑』『野草の名前』