薄荷(ハッカ)

シソ科ハッカ属の多年草。野生のハーブ。水辺や湿った草地に生える。長い地下茎を多数伸ばして殖える。茎や葉、萼に軟毛がある。茎は断面が四角形で、発根しやすい。葉は対生し長楕円形で、裏面には精油を出す油点がある。花期は７～１０月。葉腋に長さ４～５㎜の淡紫色または白色の唇形花を輪生する。萼は５裂し、裂片の先は尖る。

古くからメントールを採るために栽培もされる。葉を蒸留して得た結晶をメントール、残液をハッカ油といい、粘り薬、歯磨き、タバコ、ガム、菓子など多く利用する。現在では合成ハッカや輸入品に押されて、ほとんど栽培されていない。近縁種の西洋薄荷(セイヨウハッカ)はペパーミントのこと。よく見かける丸葉薄荷(マルバハッカ)はヨーロッパ原産の帰化植物で、ハッカ臭が強い。本種によく似た洋種薄荷(ヨウシュハッカ)は葉が長卵形で縁に鋸歯がある。

目が疲れた時、葉を揉んでまぶたをこすり、目薬のかわりに用いたので、『目草』ともいう。

出典『里山の植物 ハンドブック』『野に咲く花』