薮蔓小豆。マメ科ササゲ属。（長文）
このところ草花の受難の季節である。山道の両側の草刈りが進み、いくつもの草花が消えてしまった。運よく一週間前に見た黄色い花のヤブツルアズキ。「ねじれた花冠」と書かれている説明もあり、ひねくれた変わり者の花に興味を惹かれた。

花の説明は「旗弁は左右非相称。左翼弁は竜骨弁にかぶさり、右翼弁は竜骨弁を抱くように突き出る」とあるが、写真を見てもわかりにくい。名称が次々に出て、困惑する。

さて、旗弁。外側のうす黄色の半円形の花びらが旗弁で、左右の大きさ、形が違う左右非相称。左右非相称(アシメトリー)は、中心線の左右が対称でない、すなわち左右の形が違うこと。相称と対称はほぼ同じ意味である。人間は左右相称(シンメトリー)である。

旗弁の上方に弓形に盛り上がっているのが左の翼弁。その下にある薄い黄色で筒状に伸びている竜骨弁にかぶさっている。下に弓形に短く突き出ているのが右の翼弁で竜骨弁を抱いている。やれやれ。返って混乱させたかもしれない。

この複雑さに辿り着いたマメ科の美しい進化は、まじまじと見るに値する、と言っておこう。