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so.ra
2021/03/09
【瑠璃の冬の物語】その22
太一と瑠璃を乗せた鳥は、やがて大地へ降り立った。二人を下ろすと、再び鳥は大空へと飛び去った。
まぶしい太陽の光と思っていたのは、空にかかる月の光。長い間の地下の生活で、瑠璃の目には月の光もまぶし過ぎるほどだった。
「昼間かと思っていたら、夜だったのね。ここはどこなの?」
瑠璃は辺りを見回しながら太一に尋ねた。
「僕たちが住んでいた家の先にある鎮守の森の奥だよ。母さん、もう一度母さんに会えて、本当に良かった。生きていてくれて良かった」
太一が声をつまらせていった。
「今も信じられないわ。これは夢じゃないわよね。あなたがこんなに立派に成長して、私の前に帰ってきた。そしてあんなに大きな鳥を操って助けに来てくれるなんて。」
今にも消えてしまうのではないか、そんな想いを抱きながら、瑠璃は目に一杯に涙を浮かべながら、太一の肩に恐る恐る手を伸ばした。
「もっと早く迎えに来れたら良かったんだけど、どうしても時を待たなくてはならなかったんだ。」
肩においた瑠璃の手に手を重ねて、太一は瑠璃を抱き締めた。「かあさん、痩せたね。とても苦労したんだね」
瑠璃を見つめる太一の目からも涙が止めどなくこぼれた。
「あなたがいなくなってから、毎日毎日、山のなかを探し回ったけど、あなたは煙のように消えてしまった。とても悲しくて辛い気持ちで毎日を過ごしていたのよ。あれから、あなたのことを一日も忘れたことはなかった。
あなたにいったい何があったの。」
とても信じてもらえないかもしれないけど、僕は不思議な体験をしたんだ。
空にかかる満月をあおぎながら、太一が話を始めた。
続く
🌸よろしかったら、物語の一話【瑠璃の物語】二話【瑠璃の冬の物語】は下のタグからご覧下さいね。
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so.ra
お出かけ先で出逢った花にとても感動して、こんな感動をどこかに残したいと始めたGSでした。花に添える言葉が上手く書けなくて、それなら575とか、詩にすれば書けるかなと、詩を書くようになりました。でも、私はやっぱり口べたで、どうしようもない天然で‥。ちゃんと届けたい想いが言葉にできなくて‥。何度も、自己嫌悪にもう投稿をやめてしまおうと思ったりもしました。(一度止めて、このアカウントは再開したものです)でも、そんなとき、今はおほしさまになってしまった天美ちゃんが、初めて私の言葉を書きとめてくれて‥私は言葉を紡ぐ人になりたいと思いました。そして、挫折しそうになるたびに、みんなが声をかけてくれて‥そんなみんなの暖かさに支えられて続けてこれました。いつも、こんな私にいいね!をくれるみんな、心からありがとうございます。みんなが今日も明日もずっとずっと幸せでいられますように🍀
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sora の物語
瑠璃の冬の物語
瑠璃の物語
太一と瑠璃を乗せた鳥は、やがて大地へ降り立った。二人を下ろすと、再び鳥は大空へと飛び去った。
まぶしい太陽の光と思っていたのは、空にかかる月の光。長い間の地下の生活で、瑠璃の目には月の光もまぶし過ぎるほどだった。
「昼間かと思っていたら、夜だったのね。ここはどこなの?」
瑠璃は辺りを見回しながら太一に尋ねた。
「僕たちが住んでいた家の先にある鎮守の森の奥だよ。母さん、もう一度母さんに会えて、本当に良かった。生きていてくれて良かった」
太一が声をつまらせていった。
「今も信じられないわ。これは夢じゃないわよね。あなたがこんなに立派に成長して、私の前に帰ってきた。そしてあんなに大きな鳥を操って助けに来てくれるなんて。」
今にも消えてしまうのではないか、そんな想いを抱きながら、瑠璃は目に一杯に涙を浮かべながら、太一の肩に恐る恐る手を伸ばした。
「もっと早く迎えに来れたら良かったんだけど、どうしても時を待たなくてはならなかったんだ。」
肩においた瑠璃の手に手を重ねて、太一は瑠璃を抱き締めた。「かあさん、痩せたね。とても苦労したんだね」
瑠璃を見つめる太一の目からも涙が止めどなくこぼれた。
「あなたがいなくなってから、毎日毎日、山のなかを探し回ったけど、あなたは煙のように消えてしまった。とても悲しくて辛い気持ちで毎日を過ごしていたのよ。あれから、あなたのことを一日も忘れたことはなかった。
あなたにいったい何があったの。」
とても信じてもらえないかもしれないけど、僕は不思議な体験をしたんだ。
空にかかる満月をあおぎながら、太一が話を始めた。
続く
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