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詩集「ここ数年のリアル」の一覧
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サタティ
詩集「ここ数年のリアル」第4章③ 回想Ⅴ.2 夜が白々明ける頃 スーツをジャージに着替え 庭に穴を掘る おりしもひそかな雨が 土に僕に湿り気をもたらす 一抱えほどの土の小山 真横にあいた小さな穴 いつもいつも覚悟していた 来るはずのとき とても堪えるだろうと どうしようか、と そして、来た 一つ屋根の下で 共有した8年9ヶ月は 今の職場の在職期間とほぼ同じ 長いような短いような・・・・ 掘り返された土が 真新しく元通りに 穴を埋め尽くすとき かんたんな儀式は終わり 雨脚は強まっていた 体中汗びっしょりで しかし熱くはならない僕は 震えながら風呂で汗を流す ミーオ8年9ヶ月(回想Ⅴ.2) 2004.6.6.5:10AM 高槻市北園町 写真 JR守山駅前 ※愛猫カレンより後からやって来て、 先にいってしまった「みーお」の詩、、 タグ「かれんのこと」外伝
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サタティ
11月になった。 半年前が5月、 とおい・・・ 地球の裏側や、 過半数の人生並みに 「ここ数年」など、 遠いようで近いのかもしれない 詩集「ここ数年のリアル」第3章① 5月だから 微かにレースのカーテンを揺らす そよ風 優雅な光の輪唱を受けとめる格子窓の影 その時、ストリングスの弱音器のトリルが そっと、心を掠め取る 5月だから 昼下がり水辺の漣に音立てる 雨粒 不規則に海からの香り運ぶ濃煙の雲 あなたが、いっとき睫をふるわせても きっと、気にも留めはしないだろう 5月だから 長い坂道をゆっくりと登ってゆく とおい遠い日の自分のすがた ためらってもためらっても、ただ黙々と 歩きつづけていた 疲れも忘れて 見えるようで見えない向こうの景色 どこに向かって歩く?それから 少し息が切れたように感じる 気づけば平坦な道を歩いているのに 「・・・してもいいかしら?」 「たぶん・・・だろう」 「めい あい・・・?」 たぶん5月だから どっと出て来るものの招待も 慌しくも優美に濃密に目くるめく 幻惑と狂おしさの5月だから きっと 5月だから 5月だから 「早月故」 2003,5,25 TAKATSUKI 写真 20180514
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サタティ
詩集「ここ数年のリアル」第2章① 天の叫び・地の怒り あの時 確かに 夜空は 紫色に 光って いたよ そのとき 着替えて はじめに 知らせた しるしは 階段の音 無人のはず プレハブの みしみしと きしむおと だれかいる? どおおおおんという轟音と 激しくゆれる高速のガード 地底を這う 百台の重戦車のような いつ建物が倒れても いつ地面がわれても おかしくないような シェイク・シェイク・シェイク あの日も寒かったなぁ・・・ でも 何も感じるひまもなく 痺れるような麻痺した感覚の中 家族を案じつつ 闇から夜明けに向かい ただひたすら 車を誘導し 応援も昼過ぎまで来なかった そのときの職場 名神高速道路拡幅工事現場 ずいぶんの時間が経って つながった電話で 惨事を知った どうする事もできなかった 8年前の 「今日」 激しい怒りに触れた気がした 「逆鱗」 龍の喉にある逆さの鱗 確かに大地は 龍がはしるようだった 空は「ゴジラ映画」みたいに ぴかぴか光っていたし 後日 その年 漢字検定協会は はじめて「今年を現す漢字1字」を公募 その字は「震」 そしてそれを発表した日を 「漢字の日」に・・・ 12月12日 僕の誕生日だ 世の中は不思議な因縁に満ちている 「それ」からあとの自分の行く末を どうしてあのとき予測できただろうか? 「天の叫び・地の怒り」 2003.1.17 Takatsuki 写真 神戸市 20151212
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サタティ
「ここ数年のリアル」第1章⑦ それでも私は旅に出るだろう 何度も方角を間違えた 見当違いのところにばかり出くわす よそよそしい人ごみの中 時間ばかりが過ぎた それでも私は旅に出るだろう 言いようも無い違和感と 例えようも無い浮遊感に おきざりにした良心のかけ 曇り空が重い それでも私は旅に出るだろう 人知れず涙を流し いい知れぬ倦怠の中 齢を重ねた鬢に混じる銀色 ため息ついて見つめる それでも私は旅に出るだろう ここは魂の棲みか 無限の安らぎと 伝わる温度の安逸に惹かれ 手と手をにぎりしめる それでも私は旅に出るだろう いく度めかの終着駅に たどり着いた終止感 明るい喧騒にまみれ 多くの人を思い浮かべ もたれられたりもたれたり うたかたの戯言連ね もうどこにも行きはしないと 固く誓う己と仲間に 消えないように見張っていてと 叫ぶような心でそっとつぶやきもせず だだをこねていたい そうしていられるなら 離れ離れは考えたくも無い それでも私は 旅に 出るだろうか・・・・・ 「それでも私は旅に出るだろう」 2002 Dec.22nd Takatsuki 写真は 白夜(午前0時頃)のアイスランド 20180625
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サタティ
「ここ数年のリアル」第1章⑥ オペラ あなたは歌う つよく、やさしく あなたは叫ぶ 激しく、燃えるように あなたの歌が 響く、とどく あなたの声が しみこむ、おくのほうへ 高まる器楽の演奏の音の波間に ゆらめいて時折妖しく輝きを 投げかけるトーン、ノート、リード 受けとめたはずの過去の思い出 ひと時の現(うつつ)に棲む見知らぬ世界 連れ去った私の大切な魂のひとかけを 立ち昇る硝煙とルビーの混ぜ物をゆらゆらり振りながら 泣き出した遠い日々の風の中の旋律と 私は沈む 沈む 沈む、沈む 沈みながら渾身の力を込めて 見開いた目に映る それは幻 夢見の涯の 明日を超えた無限の時間 私は歌う 声高らかに とどく事さえ考えもせず あきらかな事 調子外れに・・・ あの人は眠る 眠る、眠る よみの世界のしもべとなりて "オペラ" 2002.Dec.21st Takatsuki 写真は JR守山駅付近 20191021
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サタティ
個人詩集 「ここ数年のリアル」2006上梓より9最終 ※「みどりのまとめ」に一章すべてまとめてますので、そちらの方もよろしくお願いします。写真はすべて別バージョンです。 最終日 作業は一通りの終止符を見た 断続のリエゾンと不断のクリシェ とても自然に語ることの困難は かなり不自然な文字の説得か カーテンの隙間を視野の端で 捕らえるともなくとらえている 微かに唸るような可聴範囲外の振動 やはり微かに明滅し交錯する淡い光 あなたはどこから来てどこへ行く? あなたは一体何をする人? あなたの求めるものと恐れるものは一体何? あなたはどこから来てどこへ行こうとしている? 答えをすぐには求められていないらしいが 即答でも一生かかっても 多分同じ答えになると思う さようなら! ありがとう! ありがとう・・ さようなら・・・ しだいに声が姿形が薄れて消えていく・・・ もう目も見えないし耳もほとんど聞こえない そんな状態になっても なおくっきりと 残っているだろう物語のプレーヤーたちに 心からの賞賛と懺悔と大きな感謝を贈ろう まわりを取り囲むすべてのすべての人たち 偉大な物語のプレイヤーたち 自分の身のまわりに かつて、今、そして未来に「居た」 すべての大きな大きな心の支えに さいごまでおつきあいいただきましてありがとうございます 多謝 「最終日」 OSA.JAP. 2006.6,21 ここから12年経ち、次の日6月22日 イングランドに降り立っていた 写真はロンドン市内 20180622
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サタティ
月日が百代の過客で、 行き交う年も旅人ならば どこからどこに行こうが 乗り合わせた列車次第 なのかも知れない 京都市 20191020 詩集 「ここ数年のリアル」2006上梓より7 六日目 奇跡はこの世にあるのだろうか 答えは簡単 無数に存在する 少なくとも自分をとりまく かつてと今と未来に 数え切れぬくらいに 当たり前すぎて気付かない事 ちょうど空気や水や陽光のように 日ごろ意識する事も無いもの それら一つでも失った時の事を 想像してみる おそらく耐えられはすまい 衝撃が走るその前に どれだけシミュレーションしても 耐性があがるとは思えない 心の準備、否 何度も死線を超えたのは 無心の前進から 捨てる事も拾う事も 同義語に近く そのどちらでもない選択肢を選ぼう 今、まだ生き続けている間を 奇跡の瞬間の連続を 縫うようにして奔る まもなく次の世界が見える 新しい世界 新しい奇跡 いよいよ もうすぐに 2006、6,20
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サタティ
文章化によっては 新たに自分の内面が分かるらしい たしかにそういう面も あると思う 四条西院 20181219 詩集 「ここ数年のリアル」2006上梓より5 四日目 視覚による記憶・聴覚の記憶 味覚による記憶・触覚の記憶 そして嗅覚による記憶 感覚機能は何を伝え何を指し示すのかはおいても 「とりわけ嗅覚記憶、におい・香りの記憶はいつまでも残るものである」 と、ある本で学者が唱えた 197X年 夏 極東の大都市のターミナル駅 最大不快指数とともに人ごみを泳ぐようにすり抜けていた時、 その時、確かに海の匂いがしてビルに区切られた空を見上げた その感覚は未だに体の中のどこかに消去されずに残った 一つのメモリーデータ 懸命にバックアップを取ろうとしても 膨大な新着情報にかき消されていく数多のメモリーたちを尻目に鮮明に保存されている そしてまた別の時 隣にいた(はずの)おまえの横顔すら思い浮かべ辛いのに 浮遊する微かな薔薇に似た香りは やはり鮮明に記憶と胸を焦がす 2006、6,18
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サタティ
一見、脈絡が無いようでも やはり同じ人間のすること ジャンルが違うようでも 出来上がるもののテイストは 似たものになってゆく 時間・空間を超えて 東京都 20120813 詩集 「ここ数年のリアル」2006上梓より4 三日目 じりじりと照りつける陽光 国道脇に規則正しく並んだ街灯は 昼間その存在感を消失し ただ徒に空を区切る ありきたりの噴水でさえ 日時計の花壇と相俟って 大通り広場の顔貌となり 和みの空間を拡げる 闇雲に歩いているだけでも 何がしかのモノが目に飛び込んでくる それをどう捉えようと自由だろうし そこに意味を見出すのも通過するのも やはり自由 目標もなく歩き続けて大通りから裏通りへ 裏通りから更に路地を抜ける 広い通りからどんどん狭い道への移動 両脇の建物に手荷物が触れるほどに 建物は其処彼処 植物の侵食と出会い 戸惑いながら朽ち果てて行くのか そんな事にはお構い無しの猫たちに 格好のスペースを提供する 目に焼きつくものと心に残るものが 必ずしも一致する訳ではないけれど 覚えようとしたものも忘れてしまう反面 突然甦る思いがけない記憶 少し掠れた声で 呟くように低く歌うように 伝えたものは 寂しげな笑顔の陰で、 見えない 2006、6,17
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サタティ
詩のことを書くのは とても気恥ずかしい 何故なら、自分の作品が 詩と呼べるかどうか、 言い切るだけの図太さを 備えていないから 歌詞ならいくつか書いた 必要に迫られて 詩は、どんな必要があったのか 書くことに どのような意味があるのか まだ、深く理解できていない そこに原因があるのかも知れない 写真 20180615 詩集 「ここ数年のリアル」2006上梓より2 「第一日目」 過ぎ去って思い出そうとしても それは不可能に近い事 その時の濃やかな時間の流れの中での ひとつひとつのやりとりはすべて 過ぎ去って思い出したとしても それは真実に遠いもの 後付けでの修正された記憶の中での 創作物たるレプリカント けれどもその日のことは とてもくっきりと印象に残っていて 突然のことにしては意外なくらい 予感が、と言うより確信があった 暗がりの中では色彩は消滅する けれども強烈な光を浴びても やはり色彩は消滅するらしい 中庸しか捉えられないこの感覚 水平線はもとより地平線の一部分すら しばらく見ていない 目線すらあまり動いてもいない しかし根拠の無い確信が深まる時 動きが始まる カーテンの隙間は光の明滅を早め しだいに拡大する光とともに それはやって来た 驚く事も無く 冷静に受け止められたのは 心のどこかで 予想していた事だからかもしれない そしてお互いに 「やあ」 というしかない雰囲気の中 その作業が始まった 2006、6、15
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サタティ
以前、詩人になりたい 詩人として死にたいと 願った時期がある その時には何も書きはしなかったが その10年ほど前に一度 詩集をまとめていた 最近、「見たい!」とのリクエストが フォロワーさんの投稿にあり、 表現方法を考えていた こんな時代 なんだってアリ で、 ここに小出しにすることにした笑笑 返信コメント欄に一編ずつ ※と書いたけれど、返信増えたら見にくいので、長くなりますがここに貼ります もちろん 興味を持った方限定の インディーズ状態 詩はその詩集のラスト近くから始めてみる 写真はそれに因んだ内容や日付から 写真四条西院 20180614 詩集 「ここ数年のリアル」2006上梓より 「その前夜」 寝つきは悪い方じゃなかった 何年か前までは 疲れててもあまり疲れて無くても ワン・ツー・スリーで はいさよなら! 気がつけば起きている 何時でも何時までも こてこてに疲れ果てて それでも得体の知れないものを抱えて カーテンの合わせ目が少し開いている ちらちらと夜の明かりが明滅する 換気扇の低いうなりと 遠くのクラクションの断続 一年が速く過ぎるようになってから一体どれぐらいの年数を経たのだろう このままなら確実にイケそうなくらいやばい速度に感じる 疲れがすぐに現れなくなったりなかなか消えなくなったり 変に納得できる変化が緩やかに周りから囲い込む 夢をなくしたわけじゃない 夢を見たいわけでもない 夢見心地で暮らしていても 根っこの部分はうつつと地続き 似たような無為を重ねても 一つ一つ違う意味を見出し きちんと棚に整理して 前進の錯覚に自分を鼓舞する 今、時機(とき)は臨界目指し 確実に刻まれている その「X」が 見えるところまで そして その物語は再び始まろうとしていた 続く 「SONOZENYA」 HIMURO、TAKATSUKI Jun.14th '06
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