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野草の一覧

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醜男
山査子(サンザシ) バラ科サンザシ属の落葉低木。中国原産で、江戸時代中期の1734年に薬用植物として渡来した。最初は小石川植物園と駒場薬園に植えられた。その後、鑑賞用に鉢植えにされたり庭に植えられるようになった。野生はない。葉は互生した倒卵形。花期は4~5月。棘のある枝先に白い5弁花をつける。秋に赤または黄色に熟す果実をつける。果実はナシ状果の偽果で1.5〜2㎝の扁球体。果実は収穫後3〜4日で肉質が軟化し芳香が出る。生食もできるが、蜜煮、シロップ漬けなとが美味。中国では果実を砂糖漬けや蜜漬けにし、消化促進のため食後に食べられていた。 ヨーロッパ原産で紅色の八重咲きの花をたくさん咲かせるセイヨウサンザシの品種アカバナヤエサンザシや、直径2.5㎝の大きな果実をつけるオオミサンザシなども庭木や鉢植えにされる。 中国の生薬名で実を意味する『山樝子』を音読みにしたものがサンザシ。山査子の『査』は元は『樝』の字で、クサボケ(シドミ)やコボケを指す。サンザシとクサボケの実は味が似るという。山査子や五味子(ゴミシ)といった『子』のつく名称の中には、本来は実を指していたが、植物そのものの名称としても用いられるようになったものもある。17世紀初めに編纂された『日葡辞書』にもサンザシの記載があることから、日本では渡来する前から薬として知られていたと考えられる。 出典『樹木の事典 600種』『薬草の呟き』『食材図典』『生薬単』『樹木の名前』『由来がわかる 木の名前』
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醜男
ピラカンサ バラ科トキワサンザシ属の常緑低木。ピラカンサはトキワサンザシの仲間の総称で、日本では主にトキワサンザシ、ヒマラヤトキワサンザシ(別名 カザンデマリ)、タチバナモドキの3種類がピラカンサと呼ばれている。雑種も多く、識別するのが難しいケースもある。いずれも一年中細い枝に艶やかな濃緑色の小さな葉をつける。花期は5〜6月。木に雪が降り積もったように白い花が枝を埋める。秋から冬にかけて枝がたわむほど果実が実る。果実は偏球形の偽果(ナシ状果)。美味しそうに見えるが毒があり、まとめて食べれば鳥も毒にあたる。3種類とも耐寒性、耐暑性に優れ剪定にも耐える。 名前は属名の音読み。属名はpyro(炎)+acantha(刺)の合成語。果実の熟した鮮やかな果色を炎にたとえ、枝に刺があることを表す。 3種類の違いは次の通り。 常磐山査子(トキワサンザシ) ・西アジア原産で明治時代中期に渡来した ・赤い果実は扁平で小さめ ・葉は靴べら形 ヒマラヤ常磐山査子(別名 花山手鞠カザンデマリ) ・ヒマラヤ原産 ・赤い果実は3種類の中で最も大きい ・葉は細長い 橘擬(タチバナモドキ) ・中国原産 ・果実は黄橙色 ・果実の色と形がミカン科のタチバナに似るのが名の由来 出典『樹木の事典600種』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『樹木 見分けのポイント図鑑』『草木の種子と果実』
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信濃柿(シナノガキ) カキノキ科カキノキ属の落葉高木。中国原産。古く中国から渡来した。昔は柿渋を採る用途で人里周辺によく植えられた。長野県をはじめ各地で栽培され、流失したものが山地などに自生する。葉は互生。葉裏は粉白色で、ふつう無毛。葉柄は1〜3㎝。花期は6月。雌雄異株で、雌花はサーモンピンクで少数咲き、雄花は赤みが強く多数咲き。果実は液果。径1〜2㎝で、秋に黄色くなっても未熟で渋く、冬に霜にあたるとぶどう色に染まり甘く熟れて食べられる。よく似た在来種のリュウキュウマメガキも暖地に自生し、昔は柿渋の原料とされた。 シナノガキは主に柿渋を採ることを目的に栽培されてきた。木工品の盛んな『信濃』は柿渋の産地だったことからシナノガキの名がついた。小柿(コガキ)や豆柿(マメガキ)、ブドウガキの別名もある。 里山には沢山の柿が植えられている。昔は食べるためだけではなく、柿渋を採るためにも柿は身近に植えられた。実の小さなマメガキや、西日本に自生するリュウキュウマメガキの実も同じ用途に使われた。柿の渋はタンニン物質である。未熟な柿を食べると渋み、つまり舌がしびれて麻痺するような感覚を味わう。タンニンは大量に摂ると体に有害に働く。たんぱく質を変性させる作用があるので、舌や食道に直接作用するだけでなく、同時に食べたものに含まれているたんぱく質を変性させて消化しにくくしてしまうため、食事をとっても栄養にならず、やせ細ってしまうことになる。植物がつくりだした動物への対抗手段なのである。柿の渋は、人々の生活には欠かせないものだった。カキやマメガキの未熟な実を臼でつくと、どろどろの液体になる。これを発酵・熟成させたのが柿渋である。防水効果が高く防腐効果もある優秀な塗料であり、昔は木造舟や漁網や和傘をこれで防水し、補強剤としてうちわや家具にも塗った。たんぱく質を変性させる作用を利用して、獣皮の皮なめしにも使われた。柿は用途の広い木だったのだ。 出典『里山の花木 ハンドブック』『秋の樹木図鑑』『樹木の名前』
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