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阿南田零
先日、2021年に咲いたときの写真を載せたので今日は今年の、というか今まさに開花中の姫竹葉セッコク。 画像中に書き込んである赤いラインが2021年の開花当時のバルブの高さ。そのラインより高く伸びてるのがその後2年の間に出た新しいバルブ。何でいきなり大きく成り始めたんだろ? ま、それはそれとして、先日の、学名の(ややこしい)話のつづき。 2020年の時点で ①竹葉セッコクの学名はDendrobium hancockii。 ②姫竹葉セッコクについては、学名が併記されてるサイトがほぼない。たまにDendrobium hancockiiまたはDendrobium hainanenseと表記されてる場合がある、が… ③竹葉セッコクと姫竹葉セッコクは葉の形も花の形も明瞭に違う(=別種?)のに、両方ともDen. hancockii(=同種?)ってことある? ④Den. hainanenseはムカデランみたいな棒状の葉(もうちょっと長いけど)で、白い小さな兜咲きの花をつけるデンドロで、姫竹葉セッコクとは全くの別種。 ⑤どうもDendrobium odiosumと呼ばれているデンドロが姫竹葉セッコクと形態的特徴が一致する→姫竹葉セッコク=Den. odiosumか? ⑥ところがDen. odiosum(姫竹葉セッコク?)はDen. hancockii(竹葉セッコク)のシノニム(異名)になってる。あれ? と、ここまでは分かってた。 で、その後、なんでDen. odiosumはDen. hancockiiのシノニムなのか?について調べたところ、以下のようなことが分かった。 ⑴ パリの国立自然史博物館に所蔵されるDen. odiosumの模式標本は、どう見ても竹葉セッコク(=Den. hancockii)と同種。Den. odiosumはDen. hancockiiより発表時期が遅い。よって、Den. odiosumの方がDen. hancockiiのシノニムとされている。 ⑵ところが、パリの国立自然史博物館には、模式標本以外に、形態的に姫竹葉セッコクと同一と思われるDen. odiosum標本も存在する。 ⑶ つまり、パリの国立自然史博物館には、竹葉型と姫竹葉型、2つの型のDen. odiosumの標本がある。 ⑷ どうも、この2つの異なる型のDen. odiosumが存在するというのが曲者で、本来、学名は模式標本のものだから、Den. odiosumを名乗れるのは竹葉型の方だし、しかもDen. hancockiiのシノニムになっているのに、なぜかDen. odiosumが姫竹葉型の学名として一人歩きしているらしい。 実際は、『竹葉型と姫竹葉型の形態的な違いは個体差、両者は同種』と考える場合の姫竹葉セッコクの学名はDen. hancockiiということになるし、『両者は別種』とするなら姫竹葉セッコクは名前がつけられてない未記載種ということになるんだけど… まあ、竹葉型と姫竹葉型の間に中間形態のものが沢山あって、線引きが出来ないってことでもない限り、これだけ形態が異なるものを同種とするの無理だとおもうんだよね~。やっぱり未記載種かな~。 ということで、 姫竹葉セッコク Dendrobium sp. とりあえず雲南省の2000m級の地域で採集されているけど、記載されているかどうかわからないので分布は分からない。
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