鼬萩。黒花槐（クロバナエンジュ）とも。見かけたのは、墓場の近くの林縁。遠目には黒いシッポが突き出たような異様感がある花で、ここからイタチハギと命名されたようだ。
葉は羽状複葉でハギやエンジュに似ている。近寄ってみると、濃い紫紺色の花に金をまぶしたような高貴な花姿にも見える。

一見してドスを効かせた「反社会性」がどことなくにじみ出ているのは、「侵略的ワースト外来種100」に日本生態学会が選定しているからだろうか。耐暑性、耐乾性が強く、在来種を駆逐し、生態系を乱すため駆除対象にしているところもある。

完全な悪というのは存在しないように、イタチハギも根の土壌固着力、マメ科の窒素固定力があるため、法面（のりめん）などの緑化、土砂流失の防止に安易に植栽されてきた経緯がある。
都合よく悪を利用したほうにも問題があったのである。外来種にも言い分はあるはずだ。お尋ね者になったからには、ふてぶてしく、眼光鋭く生きるのは自然の理であろう。

ちなみにイタチは小柄でかわいい顔をしながら、凶暴。イタチにも天敵がいる。