煙の木。雌雄異株の落葉樹。雌の木はもくもくと煙が湧き起こったように見えるが、雄の木は花序が短く、煙には見えないようだ。この木はあきらかに雌木。小さな花の脇から「糸状の煙」が伸びて全体が煙に変わったいまどきが、ちょうど見どころ。

小雨が降るなか、煙の穂についた小さな水滴がきらきら光っていて、しばらくみとれていた。だんだん淡いピンク色が炎を感じさせ、この木に温度を感じてきたのが不思議だった。
花色は赤紫、白、黄色と種々あり、葉も紫があるなど改良品種が出回っている。ウルシ科なのでかぶれる人もいるとか。

遠くから眺めても、近くから見ても楽しめる、遠近両用の木である。「煙も眉目（みめ）よい方へならでは靡かぬ」（煙さえ美人のほうでなくては靡かない）ということわざがあるくらい、煙の木も見られているようで、人を見ているのかもしれない。