令法。山道に入って小暗くなるこの時節、樹木の花はめずらしい。白い花が総状花序となっているのですぐ目に付く。今回、リョウブの枝が垂れ下がって目の前にあったので、よく観察できた。

花は「虫のレストラン」といわれているらしく、実際、多くの虫で繁盛していた。令法とは令和の時代にぴったりの樹木だなあ、とひとりほくそ笑んだ。だが、令をりょうと読ませるので、カタカナ表記だとわからないのが、残念。さみどりの若葉はご飯に混ぜたり、天ぷらで食べられるため、飢饉に備えて多く採ったり、貯蔵したりするよう法を発令したところから、このお役所的な古い名前になったようだ。

それにしても、飽食の時代。飢えを防ぐいにしえ人の知恵は、あらためて驚嘆に値する。