『モミジ 京の名所「落葉近し」なのに
気象台が「紅葉」発表

標本木所在が影響するが温暖化で年々遅く

京都地方気象台は10日、京都市でイロハカエデ(イロハモミジ)が紅葉したと発表した。平年より5日遅い。
……「何を今さら」と思うかもしれないが、実はこの情報に、重要な「危機」が潜んでいるかもー。

　同気象台は毎年、二条城(中京区)にある標本木のモミジが90%以上色づいたことを職員が確認した日、「紅葉」を発表している。ただ、二条城は相対的に冷え込みが弱い市中心部に位置するため、嵐山や東福寺、永観堂など、山沿いの名所に比べ、色づきは必然的に遅くなる。
……京都地方気象台は、1974年からサクラやアジサイの開花、イチョウやイロハカエデの紅葉など6種9現象を観測している。季節を反映した植物の状態変化を長期間にわたって定点観測し、気候の動向や変化をとらえる目的だ。
　半世紀におよぶ気象台の観測の結果、モミジの紅葉は年々遅くなっていると判明している。京都市の現在の平年値(1991〜2020年平均)は12月5日だが、記録に残る最も古い平年値(1971〜2000年平均)は12月1日で、10年あたり2.9日ずつ遅くなっているという。地球温暖化と都市化が原因とみられ、昨年は史上最も遅い12月20日だった。
　温暖化の影響でサクラ(ソメイヨシノ)の開花も早くなっている。モミジの紅葉は将来、クリスマスと一緒に訪れるかもしれない。』

『京都新聞』12月11日より抜粋
pic 落葉が進むイロハモミジ(10日京都市左京区・京都府立植物園)