穂咲き七竈。バラ科ホザキナナカマド属。
今年も八ヶ岳南麓の優美な穂咲きナナカマドを見ることができた。

6月末そろそろかなと様子を見に行ったら、満開寸前。
相変わらず豪華絢爛たる特大のコサージュである。

大きな株立ちに数十の円錐花序の真っ白い花と別れがたく情愛を覚えるひとときがあった。
空き地から雑木林となりつつある雰囲気に、カッコウの鳴き声が聞こえたから、なおさらであった。

アジアや北米にはホザキナナカマド属がほぼ10種類あるようだが、日本には一種だけしか自生していないので貴重。奇数羽状複葉であり、花は5弁の花弁をぎっしりと持ち、雄蕊が花弁の倍の長さで外に飛び出している。淡くぼやけて高貴な印象に見えるのはこのせいかもしれない。

花期が素晴らしいほど、花後は一瞬に没落したような感じがするのもいい。気持ちを切り替え、ひそかに実をつける準備に入るからであろう。秋には袋果が5個に開裂する。ナナカマドは開裂しないのに、個人情報を少し見せてくれる樹木の花形役者である。