ドイツ鈴蘭。（長文）年に3回くらい足を運ぶ長野県の入笠山。この時期行くのは初めて。ゴンドラを降りたところが標高1780m。すぐそばのスキー場の斜面一面にドイツスズランが20万本群生している。八ヶ岳南麓を望む圧巻の風景。何よりも吹き渡る甘みの沁み込んだ風の香りにくらくらする。マスクをはずし、心置きなく深呼吸すれば、天上のさやけさに心を洗われるようだ。

日本スズランは入笠湿原の斜面に100万本あり、香りはドイツスズランより淡く、なんとも心地よい。
ドイツスズランと日本スズランの大きな違いは、葉の上に花が突き出ているのがドイツ。日本は葉陰に隠れている。自己主張の西洋種と控えめな日本種。日本人の好きな物言いで、君影草（きみかげそう）の別名があるのもわかる。
花の中をのぞけば、真っ白いのが日本。花の中の雄蕊の付け根が赤いのがドイツ。ここも見分けのポイントのようだ。

下界は夏日だったが、天上ではアサギマダラがもう渡って来ており、エゾハルゼミが大音量で南アルプスの春を告げていた。