今日、押し花先生のもとで作成した作品です。

上段2つが私、下段2つは妻の作品です。

私の作品のテーマは「緑の中の二人」です。

妻は、事前には考えず、その時の材料を見て、思うがままに素材を置いていくのです。だから、テーマはないということでした。

この2つの作成過程には、大きな違いがあり、まるで補色関係のように思っているところです。

補色関係とは、正反対に位置する色ですが、お互いに補い合う関係を言います。

私は、常に目的を明確にしなければ、動きたくない人間ですが、妻は目的がなくても動ける人間なのです。

妻は、私がテーマを決めて、押し花を作っている姿勢を見て、自分自身のことをこう言いました。

「私の押し花は、小学生並みの押し花、お父さんのは、しっかりと考え尽くした押し花。お父さんのように私もテーマを事前に考えた方がいいみたい。」と。

そう、妻が言ったときは、私は、次のように言いました。

「そうだね。論文を書く上で、最も大切なのはテーマを決めること、と教わったよ。自分がこれはと思うテーマを徹底的に考えることは大切なことだから、次の押し花教室のときには、テーマを考えたらいいね。」と言いました。

でも、作品が出来上がってみると、額縁の押し花では、妻の作品の方が、見る私の方に妻の心の在り処を探させようと訴えかけてくるのです。

つまり、妻の作品は「動」なのです。そして、私自身の作品は、私自身がテーマを知っているせいなのか、そのテーマ以外で、見られることを拒否しているように感じたのです。つまり、私の作品は「静」なのです。

私は「動」を求めた結果「静」になり、妻は何も求めず「動」の結果を出していることに、私は気づきました。

ある意味では、妻は求めないから自由であり、私は求めるから不自由になっていることに気付かされたのです。

妻は毎日、目的のないドライブを求め、私は目的のないドライブは嫌だと言って「目的」をそのドライブに与え、その結果は二人がハッピーになっているのです。

妻が一昨日、島根県津和野町へ行くときに私に言いました。

「上沼恵美子が言ってたんだけど、彼女は、ご主人の横顔を見るのが大好きなんだって。だから、主人とドライブに行くのが大好きなんだって。私、その気持ちが分かるんよ、お父さん。」と。

えっ、と、驚き、嬉しい、幸せな時間に包まれました。

ドライブの目的が、そんなに明確にあったのか、私は驚きました。

これでは、妻が「動」で、私が「動」のつもりなのに、結果は「静」なのです。

つまり、妻の無目的に見えるドライブコールには実は明確な目的が存在し、一方、私が鈍感なためそれに気づかず、目的を持った人生を歩きたいと考えて、目的地をいつも考えていたことに気付かされたのです。

そう考えると、妻は押し花そのものには目的がなく、私が押し花を一所懸命にやっている姿を見ていたかったのだと、先ほど気づいたのです。

私はドライブのときは、一所懸命に前を見て運転しています。だから、妻が私を見ているとは全く思いませんでした。

今日も、私は、自分の作ったテーマに基づいて、一所懸命に押し花をしていたのです。

私が押し花を一所懸命にしているその様子を妻は、見て楽しんでいたのだと思われます。

それは私が作品を作っているときに、私の様子を見ながら、「お父さんはすごいね、どうしてそんなにできるの？」などと話しかけてくるのです。

私にはそんな余裕がなくて、事前に考えていたデザインと押花の台紙のサイズがミスマッチだったので、特に額縁の方はとっても悩みました。

でも、妻は適当に、彼女の感性で作品を作り上げていくのです。

こんなときに思い出す言葉は、「色不異空」・「空不異色」、「色即是空」・「空即是色」なのです。