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醜男
杉(スギ) ヒノキ科スギ属の常緑高木。山の湿潤な所に自生し、広く植林される。日本固有種で、有史以前は各地に巨木林があったと考えられる。高くなる木で高さ30~40m、大きな木は65mにも達する。枝葉は球に近い形につき、全体としてもこもこした樹姿になる。葉は約1㎝の針状の鎌形。小さな螺旋状につくのが特徴で、枯れると小枝ごと落ちる。葉は冬にアントシアンの生成により赤く色付くことがあるが、春には緑色に戻る。花期は3~4月。枝先に長さ5~8㎜の楕円形で淡黄色の雄花がびっしりつく。緑球の雌花も枝先に1つつく。果実は毬果、直径2㎝ほどのスギボックリが秋になると褐色に熟す。種子は長さ約6㎜、扁平で周囲に翼があり風によって散布される。1つのスギボックリには20~30個の種が入り、1つの隙間から2~5個の種がこぼれ落ち、種を飛ばした後も長く枝に残る。枯れると枝ごと落ちる。 縄文時代から丸木舟や建物、道具をつくる材として用いられてきた。酒樽にも使われる。杉材は清酒に木香と色調を与えかつ成熟させる作用がある。材中よりある種の成分が酒中に浸出し、酒の香気が増すといわれる。造り酒屋には新酒ができたことを知らせる杉玉が吊るされる。 多くの花粉を飛ばすことで話題だが、50年生の木1本に約35万個の雄花をつけ、1個の雄花から40万個の花粉が出る。1本の木から、日本の森林から、と考えると天文学的な数字に達する。太平洋戦争で国内の木が軍需物資や燃料として伐採された。戦後、国策として成長の早い杉・桧の植林が盛んに行われたため、杉の造林面積は全体の40%を占める。しかし、海外から安い建材が大量に輸入されたことで国内林業が衰退し、全国で放置されている。成長した木から大量の花粉が飛び、花粉症の原因とされ大きな社会問題となっている。花粉を出さない種の開発も進められている。また、手入れされない人工林が土砂崩れの原因との話もある。 名前は、天を突くように真っ直ぐ伸びる性質から『直木(すき)』と呼ばれたことが由来といわれる。他に、上にのび進むので『進木(すすき)』が由来との説もある。 出典『日本有用樹木誌』『都会の木の実・草の実図鑑』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』
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