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まゆぽよ
「とうとうこの日がやってきた」‎ܾ ܾ 𖥧𓇣𖦥𖥧𖥣【後編】 娘から1年ぶりに帰ってくると連絡が来た…が、彼女はひとりではなく、2人で帰ると言って、旦那さんを大いに凹ませた(笑)事件〜【後編】 ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ 「あのさぁ……ちょっと落ち着いて座ろうや〜…」 娘からの電話の後、落ち着くためにコーヒーを飲み干した旦那さん。 私は旦那さんを無視して携帯ゲームに熱中してたし、きっと彼も手持ち無沙汰になったんだろう。 そんなに広くないリビングでウロウロウロウロ… ゲームに集中していた私も、さすがに目の端でウロチョロする旦那さんがちょっと鬱陶しくなったから、携帯から目を離さないまま、旦那さんに声をかけたのだ。 「あ、うん…せやな…いや、別に俺は焦ってないけどな。」 そんな呟きに私は笑いを抑えきれず… 「ぶはっ。ハイハイ、わかっとるよ〜」 「や、ええねんで、俺は別に。○○がだれ連れてきても、俺はええんやで。」 「うんうん。せやせや。」 まゆぽよ、生返事(笑) 「……でもなぁ…まだアイツ、そんな歳ちゃうやろ…。 恋愛なんか、まだまだ早いわ…まだ子供やん…」 いや、娘…成人式を過ぎてからもう数年経つんですが💧 ていうか、私、もうその頃には娘を産んでましたけど? 絶賛、子育て中でしたけど?! 「はぁぁぁぁぁ…早過ぎるわ…そんなんもっと先の話やろ、普通…」 それからはもう、ウジウジと何やかんやブツブツブツブツ… いや、まぁ、分からんでもないよ? 大事に大事にしてきた可愛い可愛い一人娘。 特に旦那さんは娘にメロメロで。 「〇は、大きくなったらお父さんのお嫁さんになる!」 って言われてデレデレになってた爆笑の過去もあったし。 そんな可愛い娘が、ある日、前触れもなくこんな事を言い出したのだから、彼が動揺するのは当然といえば当然。 ……なんだけど。 あまりにウジウジしてるのは鬱陶しい💧 きっとここで、あの子は中学、高校、大学と、歴代の彼氏がおったで、なんて言ったら彼は地の底まで沈んでしまうだろう、きっと。 (それにしても…今回は私にも黙ってたんか、あいつめ…。 そこまで考えてる彼氏なら、せめて私には伝えとってくれよ💧) そんな恨み言を、いまこちらに向かっているであろう娘に向けた。 ーーーーー4時間後… 「そろそろ、そっちに着くよ〜」 呑気な娘の声が受話器から聞こえる。 「分かった。最後まで気を抜かないようにね。 お家に帰るまでが遠足です!やからな。」 「あははっ。何それ、でも分かった〜。」 さぁ。ここまで来たら旦那さんは、いよいよ厳しい顔つきをして玄関に向かう。 「しょうもない奴やったら追い返したる! ふふふ…さぁ、どうやっていじめたろかいな…」 ああ、もうコイツは相手にしたくない… ごめんよ、彼氏… コイツ、アホやねん… 恐ろしい娘馬鹿やねん… (ああ…できる限り、彼氏のフォローにまわろ…) そして、家の前に車が止まった音がした。 旦那さんは無言でツッカケを履いて外に出る。 私も慌てて旦那さんを追いかけた。 「ただいま〜。えっ、お父さん、わざわざ出迎えてくれたん?珍しい〜。」 ニコニコと元気な娘の笑顔。 だが、旦那さんの視線は娘の隣にいる彼氏に集中。 「はじめまして。○○と申します。 本日は、こんなに突然にお時間を取って頂くことになってしまって、申し訳ありません。 本来なら、もっと以前にきちんとご連絡させて頂くのが筋なのですが…こんな失礼な形になってしまって本当にすみません!」 勢いよく頭を下げた彼氏に、旦那さん、驚き過ぎて言葉が出ない様子… 「あ、ああ…うん…まぁ、とにかく上がって、ゆっくり話しよか…」 ハイ。出鼻くじかれた旦那さんの負け〜(笑) それにしても、彼氏、意外とええ奴! きちんと挨拶もできるし、かなりの好青年。 優しそうな、大人しそうな見た目が、なんだか娘によく似合ってる。 娘は私の方を見て、少しだけ気まずそうな顔をしたが、私が笑顔でおかえりと言ってやると安心したようにいつもの笑顔になった。 彼氏とは娘が務めている会社の関係で出会ったそうで、同い年。 もう付き合って一年になるという。 そして、ここからが大変… 「実は…この4月から東京に転勤になりまして… ○○さんと話し合って、一緒に行きたいと思っているんです。」 旦那さん、再び顔面蒼白… 「いや待って。え、○○の仕事は?」 「いや…実は…3月末で退社を…」 「はぁっ?!」 これには私も簡単には納得できない。 仕事のために家を離れ、今度は彼氏のために東京へ行く?! いやいや、それおかしくない?! 結婚を前提に、ということらしいけど、べつに籍を入れるとか、結婚しますっていう訳でもないのに東京へ行く?! 「それは、もう少し待って欲しい。 ○○は、仕事を辞めるのなら1度、ちゃんと家に帰ってきて、いったんは腰を押し付けてほしい。」 考えが古いのかもしれない。 けど、私も旦那さんのこの意見には賛成。 「彼だって新天地。彼自身だって落ち着く必要もあるんじゃない? まだ2人とも若い、20代前半やろ。 そんなに急いで事を進める必要も無いと思うよ?」 若いふたりは頑なだ。 だが、彼の方は私たちの反応を見て、ゆっくりと頷いた。 「そうかもしれません。2人でやって行くという計画は、2人で考えて、色んなことを想定して、それでもやって行けると思ったから、きょう、こうしてお話させて頂きました。 もちろん、ご両親からすると筋の通っていない話だと…それも分かったうえで…。」 今まさに彼氏に向かって文句を言おうとしていた旦那さん、その言葉で黙る(笑) 反対に娘の方は頑なだったから、今度はそっちに説得する事一時間(ぐらいはしたと思う) 「まずは3ヶ月、待ってみない? あんたもこっちで、ちゃんと落ち着いて、彼もその間に落ち着いて、また話をするのはどう?」 「さっ、3ヶ月は早過ぎるやろ〜?!」 「ま・ず・は!ちょっと様子見よって言ってんの、 あんた(旦那さん)は黙っといて。」 「ハイ…すいません…」 泣きそうな顔で彼氏を見る娘に、彼は落ち着いた口調でゆっくりと話た。 「ごめんな。二人で話しあったことやし、こんなん言ったら裏切られたと思うかもしれないけど…僕も、このまま無理やり○○(娘)を連れて行くことはできない。 そんな事したら、もう二度とココには戻れなくなるよ? 僕も、今日、ご両親とお話して、これからも仲良くして欲しいと思った。 僕も、もう二度とココに来られなくなるのはイヤだ。」 だから、待つよ。 そう言った彼氏は私たちの方を見て頭を下げた。 「こんな不躾な…失礼と承知でお願いした話を、きちんと聞いて、きちんと答えてくださってありがとうございます。 正直、いきなり来て、門前払いされてもおかしくないのに…失礼な話して、殴られるかもしれないと思いながら…でも、こうして冷静に話し合いが出来て…ありがとうございます。」 ……というわけで、話し合いは終わった。 4月から、とりあえず娘は家に戻って一旦腰をおちつける事になった。 話し合いの後は、もうみんな笑顔で雑談。 驚いたことに、旦那さんは人が変わったみたいに彼氏と談笑している。 娘と顔を見合わせて「こんなに他人と喋るお父さん、初めてやわ…」と笑った。 そして2人が帰っていくのを見送って、旦那さんとリビングに入った途端。 「とうとう…こんな日が来たんか…」 そう言って彼は、崩れ落ちたのだ。 「くそ…言い負かしたろと思て…めっちゃヤル気満々やったのに…あのミスターパーフェクト…」 はい。旦那さんも彼氏がたいへん気に入ったようです。 めでたしめでたし…に、このままなってくれたらいいな。 私もあの彼氏、スゴく気に入ったよ。 娘には勿体無いぐらい出来杉くんだけど… どうかどうか…娘をよろしくお願いします♡
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