「フェンス越しのミニトマト」 陽だまりの中、 ミニトマトがぐんと背を伸ばして、 フェンスの向こうへ旅に出た。 こっちに戻っておいで、って そっと茎をたぐり寄せたら—— ぱきん、と小さな音。 あ… まだ青くて、小さな実が ぽとりと落ちた。 せっかくつけた命のかけら、 ごめんね、って手のひらで撫でた。 たかが一粒、されどひとしずく。 この夏、いちばんの宝もの。 (ほっこりポエム) 🏷️オヤジ祭り 🏷️オヤジフェスティバル 「祭り、たんと楽しむさ〜！」

「梅しずくの約束」 ガラス瓶の中で ころんと並ぶ　青い梅 お砂糖と手を取り合って ゆっくり　ゆっくり　夢を見ている 一日ごとに 雫が増えて まるで梅が　お喋りしているみたい 「まだかな？」「もう少し！」 そんな声が聞こえてきそうで 毎朝のぞくのが　楽しみになる 待つ時間も 優しいごちそう 出来上がったら 氷を入れて ほっぺがきゅんとする幸せを ぎゅっと　飲もうね (ほっこりポエム)

「ちいさな爪の音」 ころんと寝転ぶ　下痢ピーnoah 「こわくないよ」と　ささやくように そっと手をにぎり　爪をみつめる パチン　とひとつ パチン　とふたつ そのたびに　ちょこんと耳がうごく 今日はご飯も食べず体調不良みたい いつもの抵抗がない　 だいじょうぶ ちゃんと見てるよ キミががんばる　その勇気 終わったあとは　ごほうびタイム しっぽをふって　お芋のおやつ ちいさな命の　お手入れ日和 (ほっこりポエム)

「飴のにおいと目玉の音」 ペコちゃん祭りの　夜のこと ほおばる甘い綿菓子の奥 どこかで　ひとつ ぴちょん…と落ちた　目玉の音 浴衣のすそが　ひゅるりと揺れて だれも通らぬ　小道の角に 片目だけの　おやじがいた ひとつ目　こちらをぐるりと見て ぺろりと舐めた　ペコちゃん飴 にやりと笑って　言うんだよ 「今年も　来たんだよ 　おまえの　約束を　果たしにね」 小さな頃　願ったこと 「目玉のオヤジに会いたいな」 ――願いは叶う　けれど代償は ふたりでひとつの　目になること (ほっこりじゃないポエム)