河童が水のよどみの中から現れるのには、たまげた プクンと大きな泡が浮かんできたかと思うと茶緑の苔の生えた皿が現れだすのだ 骨のように白いけれど苔で薄汚れた皿 骨と同じで硬そうだ 皿の下には大きなギョロ目 水面に浮かんでくる間、ギョロ目は上を向いている 漫画に描くと河童はひょうきんで可愛らしいけれど、本物のあいつらは、忌わしく、不気味だ 骨のような質感の頭の皿、暗い緑のぶよぶよした身体と栄養失調の人間の如く奇妙な具合に突き出た腹、粘り気のありそうなぬめった皮膚、丸い大きな濁った眼球の、表情のない顔 河童の正体を、その外見から土左衛門だと言われてきた話も納得できる でも河童は土左衛門じゃない 河童は頭の中に実在する だって、もう頭の中にいる もう、想像できるよね 骨のような質感の頭の皿、暗い緑のぶよぶよした身体と栄養失調の人間の如く奇妙な具合に突き出た腹、粘り気のありそうなぬめった皮膚、丸い大きな濁った眼球の、表情のない顔 〜川辺〜 里の緑