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蕗(フキ) キク科フキ属の多年草。山野の日当たりのよいところに生え、地下茎を伸ばして殖える。葉は腎円形で基部は深い心形。はじめ両面とも毛があるが、後には無毛。葉柄は長さ60㎝、直径1㎝ほどになる。花期は3~5月。葉が出る前に花茎を伸ばし、散房状に頭花をつける。雌雄異株。雄株のフキノトウは筒状花の花冠と葯が目立って黄白色に見える。星形をした雄花は、その筒部に多量の蜜をためて虫を呼ぶが、花後は枯れる。雌株のフキノトウは白い雌しべが糸状に伸びて純白に見え、成長すると結実する。雌花には花粉も蜜もないため、虫を呼ぶために雌花の中に少量のダミー雄花を紛れ込ませて蜜を出す。ダミー雄花は性的には機能せず、蜜を出し虫を呼びこむためだけのもの。花後に花茎が40~70㎝ほどに伸び上がり、白い冠毛が目立つ果実期になる。痩果は細い円柱形で果皮に毛はない。冠毛は純白色。 山菜のフキノトウは苞に包まれた蕾のことで、春の食用野草の先陣であり天ぷらや和え物にする。ビタミン類やカルシウム等のミネラルの他、精油や苦味質が含まれていて食用にすれば香りと微かな苦味が食欲をそそり消化を促す。葉柄は中空で、きゃらぶきや煮物に、葉身は佃煮などにするほか、咳止め、去痰などの民間薬にも利用する。日本特産の蔬菜の中でゴボウとともに最も古い。現在消費されているフキの大部分は栽培されたものである。栽培は楽だが、一旦畑に植えると繁茂し、根絶は難しい。山野に自生するものも採取、利用される。自生のものはかなり小形で、あくが強い。 名前の由来には諸説ある。茎葉に孔があり、折れると糸が出てくる布布岐(フブキ)を指すという説、用を足したときに拭く『拭きの草』に由来するという説など。 出典『野に咲く花』『里山の植物 ハンドブック』『したたかな植物たち 秋冬編』『草木の種子と果実』『食材図典』『薬草の呟き』
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