塾をさぼって、二十日ほど経った 学校から帰ると塾の道具を持って家を出る そのまま神社の中にある公園で、塾に通っていない子と二人で毎日のように遊んだ 学校も学年も違う子 塾が終わる時間帯になると、家に帰って晩ごはんを食べた 夕焼けの綺麗なある日、公園から家に帰ると母が「毎日どこで何してるの！」と鬼の形相で立っていた 塾の先生から電話があったのだ 個人でやっているお婆ちゃん先生だ 当時の私にはお婆ちゃんに見えていたが、実際はもっと若かったのかもしれないと今は思う 寺子屋みたいな感じの長机に、学校が終わった順に子供が集まってくる 出欠などとらないので、お休みも自由だ まずは各々、宿題を始める お婆ちゃん先生は、その子に合わせて、わからない事を教えてくれる 優しい先生で、どちらかというと好きだったが、私は勉強が嫌いだったのでサボる事を覚えたのだった 毎日、神社の公園で遊んでいたことを白状すると母は「よくもまあ、ひと月近くもサボって！」と呆れていた 次の日から真面目に塾に通うことにした私は神社の公園に行くこともなくなった 必然的に学校も学年も違う女の子と会うこともなくなった 名前も忘れた 顔も朧げだ 少し年下のその子のツインテールの頭が、滑り台のてっぺんで夕焼けに照らされていたことは覚えている 〜今日のお花・秋明菊〜