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醜男
酸漿(ホオズキ) ナス科ホオズキ属の多年草。原産地は東アジアといわれるがはっきりしない。日本には古い時代に中国から渡来したと考えられる。ふつう庭や畑などで栽培される。人家の周りに野生化していることもある。地下茎を長く伸ばして殖える。葉は互生するが、ときに節に2個ずつついて対生しているように見える。広卵形で縁に大きな鋸歯がある。花期は6~7月。葉腋から長い花柄を出し、淡黄白色の花を下向きにつける。花冠は杯形で直径1.5㎝。萼は短い筒状で先は5裂する。花が終わると萼は大きく膨れて液果を包む。はじめは緑色で、熟すにしたがって赤橙色に変わる。中の液果は直径1〜1.5㎝の球形で赤く熟す。晩秋には萼が脈だけになり、網の袋の中に赤い果実が透けて見える。萼が袋状に発達するのは、中の果実に虫がやってくるのを防ぐためという説もあるが、袋状の萼に風を受けて転がることで、種子の散布距離を伸ばす目的があるとも考えられる。種子は円形や腎円形で平たく、種皮はざらつき感がある。 原産地の1つであるアメリカ大陸では古くから先住民に、現在では大陸全般で広く食用として利用されている。ヨーロッパでも古くから栽培され、現在では一般的な日常食品になっている。食用ホオズキは明治時代初期に日本に渡来したもののあまり利用されなかった。平成に入って栽培され始め、近年は地域興しに絡んだ栽培が散在する。食用ホオズキは他にも、ニュージーランドから輸入されるフィサリス、メキシコ原産のトマティーヨなどがある。 古い時代に中国から渡来した日本の観賞用ホオズキの果実は、酸味のほかに苦みがあり、そのままでは食用に適さない。子宮収縮作用があるため妊婦は食べてはいけない。昔は根を子宮に入れて堕胎剤とされた。根茎は漢方では生薬の酸漿根(さんしょうこん)として用いる。地下の根茎を含めた全草を乾燥し、利尿、せき止めに用いる。 ホオズキは鬼灯とも書き、七夕や盆には庭先や仏壇に飾られ、盆の精霊迎えにホオズキちょうちんを使用する。鬼灯は果実を鬼の提灯(ちょうちん)に例えた。英語ではChinese Lantern(中国のランタン)ともいう。酸漿は漢名。ホオズキは古い時代に中国から渡来し、奈良時代には赤加賀智(あかがち)など、平安時代では奴加豆支(ぬかずき)の名前であった。その後、保保都岐(ほほずき)の名前に変わった。なぜ、現在のホオズキと同音の保保都岐になったか、次の3つの説が知られている。 ①ホオズキの種を取り出し、少女達が口の中でキュウッ、キュウッと鳴らし、頬を突くから ②ホウという虫(カメムシの仲間)が付くから ③赤い果実を火付き(ほつき)というから 💬ホオズキ市 ホオズキ市に象徴されるように、ホオズキは古くから庶民に親しまれてきた植物といえる。ホオズキ市は、江戸時代に芝愛宕神社の御神託(ごしんたく💬神のお告げ)によって売り出され、のちに浅草にお株を取られた形になったものであった…… 毎年6月24日は芝愛宕神社の四万六千日(しまんろくせんにち)である。四万六千日とは、100年の日数36000日に1万日を加えた数とされ、この日にお参りすれば、4万6千日(126年)お参りしたのと同じ御利益を観音様から授けられるといわれている。この日数の由来は、一升枡に入る米粒が4万6千粒で、一升と一生をかけて長寿を祈ったもの。この日は『御夢想の虫の薬』と呼ばれる青酸漿を売る店が出た。青酸漿は大人なら腹の立つ原因をなくすことができ、子供は癇癪を抑えられる、と効能を謳って6月24日に売りに出したところ大いに受けた。その由来は、明和期(江戸時代中期)に芝愛宕下の青松寺前に住んでいた倉橋内匠という武士の中間(ちゅうげん💬公家・武家・寺家などに仕えた従者)が、倉橋家の広庭の掃除をしていた際に採った青酸漿を、家人に愛宕神社の御夢想(ごむそう💬夢の中で神や仏のお告げがあること。また、そのお告げ)といって騙し、戯れにこれを飲ませたことが始まりとされている。当時、青酸漿は軒下に吊るしておくと害虫避けになるともいわれ、他にも利尿やせき止めに利用され、江戸庶民にとっての薬の役目を果たしていた。 浅草寺の四万六千日は毎年7月10日で、ホオズキを売る以前は赤トウモロコシが雷除けとして売られていた。参詣人はこれを買って帰り、天井の棧に挟んで雷を免れるよう祈ったといわれている。トウモロコシは、日本には1580年にポルトガル宣教師が長崎に種を持ち込んだ。江戸時代には珍品であったが、当時のトウモロコシは実が赤かったので売れなかった。ある落雷の多かった年に、葛飾方面に大きな雷が落ち、家も畑も大損害を受けた。ところが、たまたま赤トウモロコシを吊るしてあった家だけが落雷を除けることができたという。早速これを商いにすべく、四万六千日で賑わう境内にて売りさばくと、たちまち売れてしまった。その後、他の土地の人々も赤トウモロコシを競って栽培し、商いをするようになったのが市の人気をあおった。さらに、赤色に関わるものは何でも売れるようになっていった。ホオズキもそのひとつで、ホオズキ市となるまでには時代がだいぶ後の幕末となる。明治7、8年に、今まで売られていた赤トウモロコシが不作になった時、浅草寺では三角形の『雷除御守』の護符を出して売り始めた。境内を埋めるほどの市も、売り物が不作では商いにならず、それに代わるものとして盛大に売り出されたものが同じ赤色の実を持つホオズキであった。いつしか芝愛宕神社をしのいで浅草寺のホオズキ市が有名になったのであった。 現在は芝愛宕神社で毎年6月23、24日、浅草寺では毎年7月9、10日にホオズキ市が開かれている。 出典『野に咲く花』『草木の種子と果実』『都会の草花図鑑』『都会の木の実・草の実図鑑』『生薬単』『食材図典』『薬草の呟き』『野菜・山菜ハンドブック』『野草の名前 秋冬』『世界大百科事典』『縁を結ぶ日本の寺社参り』『現代いけばな 花材事典』『江戸東京学事典』『江戸学事典』
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