総桜／房桜(フサザクラ) フサザクラ科フサザクラ属の落葉小高木。山地の沢沿いなど湿気のあるところに群生する。攪乱された環境で最初に生えてくるパイオニア植物でもある。花期は３～４月。葉に先駆けて房状に咲く。花には萼も花弁もなく、雄しべの赤い葯だけが目立つ。両性花で花粉は風で運ばれる。葉は円形～三角形で大葉に似ていて、鋸歯が所々飛び出し、葉先が細長く伸びる。秋にくすんだ黄色～褐色に紅葉する。果実は柄のある翼果で、多数枝にぶら下がり１０月頃に熟す。種子は長楕円形で表面にはへこみが並ぶ。熟すと翼のある果実からすぐはずれる。 フサザクラはヒマラヤ、中国、日本に自生する原始的な植物で、葉の展開に先立って咲く花には花弁や萼がなく、多数の雄しべが房状に垂れ下がってつく。サクラの仲間ではないが、その花姿が遠目にはサクラのように見えるのが名前の由来。フサザクラ科はフサザクラ属が１属３種あるのみで、古い時代に栄えまだ不明な点が多い科である。 出典『里山の花木 ハンドブック』『樹木の名前』