熊四手。材質が固いことから、カタシデとも。10〜15m級の落葉高木。シデのなかで果穂（葉が変形したもの）が太いことからクマと名付けられたようだ。シデは果穂からのイメージで、しめ縄などに付ける短冊状の白い紙をシデという。果穂は、果苞のなかに種子を抱き、それが集まって房状になったもの。ビールに使うホップの実に似ている。濃い緑の樹冠にあっても薄緑の果穂はよく目立ち、薫風にゆらゆらするのを下から眺めると、親しみが湧いてくる。果穂は秋には熟して褐色になる。

クマシデ属には他にイヌシデ、アカシデなどがある。葉の側脈が20〜24対と最も多く、葉の表面が無毛なのがクマシデ。あとはちょっと面倒ではあるが、樹皮の色、葉の表裏、花序、果穂などから同定していく。この時期がいちばん見つけやすいようだ。

ちょうどいいタイミングに出会えるかどうかで、奇縁にも無縁にもなる。