その時、私は地下鉄に乗っていた。

住んでる最寄りの駅から乗ってすぐに、
カーブで大きく振れて「やけに飛ばすなぁ」と
思ったのを覚えてる。
地震のアナウンスと共に電車が止まり、
前に座ってた女子高生はガン寝し続け、
隣のオジサンはクロスワードパズルをやっていた。
誰も何も話さず静かだった。
次の駅までは電車が動き、混線する前で奇跡的に繋がった
携帯から「とにかく今すぐ地上に出て！急いで！」と
友人の焦った声に驚いて降りた。
駅は人で溢れかえり、バス停もタクシー乗り場も
50人以上並んでて、どうしようか考えてる時に、
モニターで仙台空港が津波に襲われる映像が流れ、
現実でも津波警報が鳴り響き、そこでやっと
「ヤバい、帰ろう」と思った。

妊娠していた私は、つわりの真っ最中で
それでも何か備えておこうとコンビニに行き
炭酸水とポップコーンとエクレアという
メチャクチャな買い物をしている横で、
ヘルメットを被ったスーツ姿の男性が
お弁当を20個ぐらい買っているのを見てビックリした。
外では泣いてる女性、大声で何か叫んでる男性、
不安そうな人、人人人の波だったけど、
揺れを体感していない事もあり現実感が無いまま
部屋に着いて、疲れちゃったなぁ〜なんて思ってるうちに眠ってしまった。
起きたのは、駅に向かう人達を空撮する複数のヘリコプターが発する凄まじい音で、TVをつけて初めて世の中が大変な事になってしまった事を知った。

これは個人的な考えだけど、
人を1番蝕むものは「孤独」だと私は思っている。
私は3/11、孤独じゃなかった。
結婚もしておらず人生がどうなるかも分からなかったし、
部屋に1人だし、携帯ももう通じなかったけど、
自分の中で育っている子供と一緒にいた。
しかも、守らなければならない、と思うべき存在に
「守られている」という不思議な感覚と共に
安心して冷静でいられた。
それは救いだった。

人は「生きている何か」と繋がってさえいれば
希望が生まれる。
それが生まれれば前を向く事が出来る。
本当の意味で怖く、悲しい思いなんかしてない、
独りよがりだって言う人もいるだろうけど、
私はそう信じている。

1986年に日本で生まれた「希望」という名の
この薔薇を、今でも辛い思いをしながら
生きている方々に捧げます。
その方々に「希望」があることを心から祈ります。

長々としたコメを最後まで読んでくれた
GSで繋がっている、みんな、
ありがとう。