一ノ関舞草刀　室町期に多く名刀が鍛えられたが　ここにも　室町特有の曲線を持ち　幅が広く直刀にある剛胆さをも感じさせる刀鍛冶があった。　場所は変わり中国地方では名刀中の名刀がでる。玉鋼をさらに鍛え　備前岡山で打ち鍛え　砥ぎは大坂。これを意味する所は　燃料が豊富で再生能力が高い山々があると言うこと。　刀は条件が沢山いる。人と技術と環境と食糧と。当時は大陸への輸出品　今は日用品として新潟や岐阜や所々に。秋田はマタギの地　ここには熊との接近戦にナガサ(長刀)がある。刃渡り30センチ前後先端は20から30°ほどに鋭利に砥出されている。持ち手部分はCの字に持ちやすく刃と同体の鋼で丸められている。中身は空洞の持ち手だから　いざとなれば　棒を差し込み麻ひもでしばり　槍(スピア)となる。優美な刀に対して実用本位　エグさを感じる。　熊はカムイの化身。尊嵩は今もかわらずにある。鉄文化にとって山はありがたい。　よって　ひと節捧げる。　　　　　　　　　　　


叉鬼剣(マタギけん)一節　　　　　　　　

山河の神に 磨かれた 時局に流れぬ 不動の刀姿

天に剣先捧ぐれば 過分をそいで 足るを知り
単純明快 清々しく 宇宙(そら)の心を会得せり
剣先厳しく 峰はやさしく　 豪胆一直 　質実古撲 移つ世に 変わらぬ誉れあり