「いのちのおはなし」
日野原 重明・文
村上 康成・絵 講談社
○あいさつが終わると先生は
黒板に横に長い矢印と１００と
書きました。
「先生は今９５歳です。１００まであと５年です。みなさんは何歳まで生きたいですか？」
子供達はそれを聞いて、それぞれ答えました。
○「いのちってなんでしょう？
いのちはどこにあると思いますか？」
子供たちはそれぞれ心臓、頭など答えます。
○「先生は今日聴診器をたくさん持ってきました。向かいのお友達の心臓の音を聞いてみましょう！」
子供たち「静かに！聞こえないぞ！あっ聞こえた！聞こえた！」
○「君たちはちょっと高い音。トントン、トントン。
わたしはドンドン、ドンドン。
わたしの心臓の音を聞いてごらん。」
○「わたしの心臓は９５年間休むことなくずっと動き続けてきたのですよ。心臓はモーターです。だからものを考えることができるのですよ。」
○「いのちはどこにあるのでしょう？わたしはこう考えます。」
「いのちは、君たちの持っている時間だと考えますよ。」
「いのちを使うことは、時間を使うことです。」
みんなびっくりしました。
いのちが大切だということは、よくわかっていましたが、いのちをどう使うかは考えたことがなかったからです。
○「これから生きていく時間。それが君たちのいのちなんです。」
みんなは、生きていることのうれしさを感じはじめ、心臓は今この時も、自分たちの中で、未来に向かって打ち続けているのです。
○「これでいのちの授業は終わります。ではまたお会いしましょう。１００歳になってから。」
今日から、自分のいのちを、どんなふうに使おうかと、みんなは胸がいっぱいになっていました。