旧鈴木家住宅「座敷棟」要約

旧鈴木家は埼玉県春日部市下吉妻で古くから続く地主で、広大な敷地（約2000坪）を有していた。座敷棟はその屋敷の離れの一部を1948年に移築したもので、建設年代は1886年以降の明治20年代と推定される。移築は戦後の住宅不足に対応し、疎開していた母シンを呼び戻す目的で行われたと考えられる。

建物は書院造で、付書院・床の間・違い棚を備えた座敷と次の間が続き、南側には縁側と便所、北側には元3畳間の台所を配置。移築時には茶の間・ホール棟との間に内玄関が新設された。

座敷棟は、明治20年代農村部の伝統的書院造の近代和風建築の遺構であり、戦後の移築による住宅確保の具体例としても貴重である。

その庭から。