ビヨウヤナギ(美容柳)


黄金色の花びらが５枚
天に向かって大きく開き

その輝く台座の上には
金色の細長い雄蕊が多数
雌蕊を囲んでふんわりと広がり
優美な光の杯を成す

雄蕊の頂く白や橙の葯は
煌めく星々のように
光の杯を美しく飾る

なんて華やかで優美な花姿
ビヨウヤナギ


❋❋❋


ビヨウヤナギは「未央柳」とも呼ばれる

白居易の『長恨歌』によると
楊貴妃を失った玄宗皇帝は
太液池の芙蓉を彼女の顔に
未央宮殿の柳を彼女の眉に喩え
彼女を思い涙を流した

　　帰来池苑皆依旧
　　太液芙蓉未央柳
　　芙蓉如面柳如眉
　　対此如何不涙垂

　　帰って来ると　池も庭も皆もとのまま
　　太液池の芙蓉　未央宮の柳
　　芙蓉は(彼女の)顔のよう　柳は眉のよう
　　これを見て　どうして涙をながさずに
　　おられようか

この故事になぞらえて
美しい花と柳に似た葉を持つビヨウヤナギは
未央柳と呼ばれるようになったらしい

もし
玄宗皇帝と楊貴妃の思い出の宮殿に
ビヨウヤナギの花が咲いていたならば…

玄宗皇帝は
このビヨウヤナギの花にこそ
愛しい楊貴妃の面影を重ね
深い悲しみに咽び泣いていたのではないだろうか

楊貴妃の容姿について
長恨歌では以下のように記されている

　　迴眸一笑百媚生

　　視線を巡らせて微笑めば、
　　そのあでやかさは限りない

　　雲鬢花顔金歩揺

　　雲のように柔らかな髪
　　花のような顔
　　歩くと揺れる　
　　黄金や珠玉で作られたかんざし

　　宛転蛾眉(…)

　　美しい眉の美女は(…)

天に向かって
黄金色の花弁を大きく開き
金色のしなやかな雄蕊が
ふんわりと広がる
華やかで優美な
ビヨウヤナギの花姿は

天子(皇帝)に向かって
微笑む姿があでやかで
雲のように柔らかな髪と眉が
優雅に風に揺れる
典雅で繊細な美しさを纏った楊貴妃の面影を
そっと映しているかのように感じられる


(長恨歌の原文および和訳はすべてウィキペディア「長恨歌」より引用)


撮影: 2025.6.2

追記:
以下のように変更しました。
輝く宝石 → 煌めく星々
投稿前からどちらがよいか迷っていまして...やはり星々かなと💦
投稿後に申し訳ありません🙇‍♀️
2025.6.9


💛ビヨウヤナギ (美容柳)💛
学名: Hypericum monogynum
別名: 未央柳、美女柳、金線海棠
中国名: 金糸桃
英名: Chinese hypericum

• 中国原産　江戸時代に渡来
• 半落葉広葉樹の小低木: 冬も落葉せず、新葉が出ると同時に古い葉が落ちる😯
• 未央柳の由来:
玄宗皇帝が未央宮殿の柳を楊貴妃の眉に喩えた (白居易『長恨歌』)　→美しい花と柳に似た葉を持つ木　→未央柳
• 花期: 6〜7月頃
• 長い雄蕊が多数つく
• 花言葉: 「気高さ」「多感」気品あるれる花姿と繊細さな雄蕊の美しさによる


参考
「ビヨウヤナギ」ウィキペディア
「長恨歌」ウィキペディア
「ビヨウヤナギの花言葉」
https://hananokotoba.com/biyouyanagi/