山芍薬。
白い花弁は、どこか人の心の弱さを映すようで、まぶしいのに儚い。手にすくい取ろうとすれば、すぐに崩れてしまいそうな、そんな不安を伴った美しさである。

私は、こういう花に出会うと、どうにも落ち着かない。喜びよりも、かえって寂しさの方が先に立つ。なぜなら、この花は咲いた瞬間から散ることを知っているからだ。潔い、というよりも、あまりに短い。

けれど、その短さゆえに、人はこの白に心を奪われるのだろう。長く咲き続ける薔薇よりも、一瞬で消える山芍薬のほうが、どこか真実に近いのではないか。

――そんなことを思いながら、私は今日も、この花を写真に閉じ込めようとする。
それは、失われゆくものを、どうにかして手元に置いておきたい、私の我儘にすぎないのだが。　

五月に、山芍薬を投稿しようとして、なぜか非投稿のままになっていました。