３月は弥生、草木生い茂る月。私の散歩道の道際等でも、冬季にはジッと耐えて辛抱していた草花達は、やっと芽や花を付け始めたり、また重い土を持ち上げ、芽吹きへ初々しく、全てが大きな深呼吸の中にあるようだ---

２月からの、草花達がその季節をエンジィし始めている姿、姿---その15。

　　／大きな団扇の様な葉間、　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　下垂するよう咲く房状ピンクの花／

　3月は中旬。近くの、あのミニオープンガーデンへ途中での出逢い。
あるお住いを囲む低い塀から、身を乗り出す様にしている、大きく葉がまず目に入る。
それは長さ10～20㎝程度の大きなしゃもじや団扇形で、大きな濃い緑の葉の間から、茎を下方に垂れるように伸ばして花序を出しいた。

そこには、小さなピンクの可愛いらしい5〜6弁の花が房状を成して、それが幾つもを付けていた。

その葉と花の色彩対比が鮮やかに、そこに表現されていた。


　　ヒマラヤユキノシタ(オオイワウチワ<大岩団扇>)


・ヒマラヤユキノシタ＜別名 オオイワウチワ<大岩団扇>、ベルゲニア＞( ユキノシタ科 ヒマラヤユキノシタ属)
　ヒマラヤ山脈周辺の地域に分布するの常緑多年草。
分布域はアフガニスタン、ネパール、パキスタン、タジキスタン、チベット、西ヒマラヤに広がっており、標高3900～4500ｍの高山の森林の中、岩場の割れ目などに自生。
日本には明治時代に渡来し、早春を彩る花として広く普及している。

ヒマラヤユキノシタの花期は2月～4月。
花期になると、葉の間から茎を伸ばして花序を出し、小さな花を多数咲かせる。

花序は集散花序。
花は直径1～3㎝の5～6弁花。
花弁は長さ9.5㎜、幅4～5㎜、先は丸く、基部は徐々に狭まる。

雄しべは10～12個、雌しべは1個で柱頭が2～3裂している。
花色はピンクの他、白。

葉は長さ10～20㎝程度の大きなしゃもじ形で、茎にらせん状に付く。
常緑性で、草丈10～50㎝程度に成長して地面を這うように広がるため、グランドカバーとしてもよく利用される。

耐寒性が高く、半日蔭でもよく育ち花を咲かせる。
乾燥にも強く、手のかからない植物である。

＜ヒマラヤユキノシタの主な品種＞
流通しているのはヒマラヤユキノシタが大半だが、近縁種や交雑種も流通している。

→ヒマラヤユキノシタ
古くから栽培されており、オオイワウチワとも呼ばれている。
葉は丸みがあるウチワ形で、長い葉柄を持っている。

→シベリアユキノシタ
ヒマラヤユキノシタの近縁種。
分布域は東アジア～中国北西部、シベリア、モンゴルにあり、高山の森林や岩場に自生。
大型種で花茎は50㎝ほどの高さに伸び、葉は表面が無毛で長い葉柄を持つ。

→ナガバユキノシタ
ヒマラヤユキノシタの近縁種。
分布域は、東アジア～中国北西部、シベリアにあり、森林や高山地帯の岩場などに自生している。
葉茎は無毛で、茎は太く木質化する。

他にも濃いピンク色の花を咲かせるプルプラッセンなどが流通している。
どの品種もヒマラヤユキノシタの名前で流通することがある。


(出典・参考: ガーデニングの図鑑)