朽ちていく舟に葦の葉は寄り添い
夕方の空を眺めていました

かつては人を乗せて走っていた舟でしたが
ここに捨てられてから随分と経ちました

わたし達は春になると青々としてきて、また若さを取り戻すけれど
この舟は枯れていくばかりなのかなあ‥
と葦の葉は考えていました

それならば　なるべく雨風があたらないように、わたし達が側にいよう

舟は　それがわかったかのように　ぎぃぃ‥と音をたて少しだけ揺れました

お礼なんていいのよ‥
あなたがいてくれるだけで　なんだか私達にも生き甲斐のようなものが見えるんだから

葦の葉はそう言って　また空を眺めました

そして次の風がきたら、暖かいお日様の光がなるべく舟にあたるようにしてあげたいと思いました

〜葦と舟〜