桜井烏頭。（長文。/木曽駒ヶ岳の千畳敷カールの続編。）
わが家の庭には三株のトリカブトが生えていて見慣れているが、千畳敷カールのトリカブトの群生は圧巻の数である。
この青紫色の花を普通のトリカブトだと疑わなかった。ところが、なぜか木曽駒ヶ岳の植物図鑑を調べてもトリカブトは出てこない。

写真で確認すると、トリカブトに似たサクライウズだった。奇妙な名前である。サクライは桜井さんが発見したか、名付けたらしい。どのネット図鑑にもフルネームは出ていない。ウズはトリカブト類の根のことで、猛毒。

どうやら木曽駒ヶ岳のトリカブトは、すべてサクライウズと呼ばれていることがわかった。南アルプスの甲斐駒ヶ岳の北沢峠にちなむキタザワブシ（北沢付子）というトリカブト属の交雑種ともある。それも推定。キタザワブシの雄蕊が無毛なものがサクライウズとする説もある。これも不確か。

北アルプスはヤチトリカブト（谷地鳥兜）、利尻島はリシリブシ（利尻付子）など日本各地のトリカブトは、生育地によって約20種類あるようだ。ドクゼリ、ドクウツギと並ぶトリカブトは、日本三大有毒植物。この注意喚起のためにサクライウズのように、変名がつけられたのではないだろうか。これも憶測にすぎないが。