《アリの梅雨仕事》

トキワマンサクの幹を、一列渋滞で何かを目指して進む蟻達。
対向車線の蟻は、何かを持ち帰って家路を急ぐ。
傘を差し、しゃがんだ幼稚園児の目線で、じぃ～っと見つめる。
立ち仕事で弱った膝が悲鳴をあげているが、今は雨音と好奇心で聞こえない。
関節の痛みに堪え、幼児書の迷路の道筋を辿るように、指差しながら出口を探る。
…時間だ。
大人の記憶に無理矢理引き戻され、「しゃがみ仕事」から「立ち仕事」へ移るべく、膝をさする。

結局蟻は何処へ向かっていたのだろう？
朝観た夢の記憶を辿るように、仕事に向かう。