『拾う神あれば、なんとやら』　　


先週、能登島を満喫してきた僕。　
魚釣りも春の花々も、日柄もよく楽しめたのでした。

しかし、いつも僕は警戒する。
そう、それは次の日だ。

楽しいことがあった日の次の日、必ずと言っていいほど変なことが起きる。山あり谷ありということなのか、運気は帳尻を合わせる生き物なのだ。

さて、月曜の朝、出勤するとあるはずの物が無い。家に忘れたか？そう言えば見なかったな……。
デスクを探す。クルマも探す。外出は昼からで、家に寄って探してみる。

無い……名刺入れが無い(¯―¯٥)

もう12，3年は使っているお気に入りだが、中には名刺の他に家の鍵、会社のセキュリティカード、社員証……そして、まだ幼かった娘からの手紙。

いや、まぁ出てくるだろう、と客先に向かう。社内ももう一度探す。家に帰ってひっくり返しまくったが出てこない。

金曜まではあった。でも、いつからかわからないが見ていないのだ。釣りに行く時も持たずに行ったはず……たぶん……完全に行方不明だ。

大丈夫。いつものことだ、必ず出てくる。俺、アイツを愛してるから。

いつものこと、と書くのは、これまでの失くした遍歴物が必ず帰って来るからだ。
例えば、19歳の時に初めて行ったカナダで買った革手袋は、地下鉄やらどこやらへ何度も放浪しているが帰ってくる。実は今も2年くらい片方が放浪中だが、未だに帰りを待っている。愛しているからだ。

火曜日、もう一度、家の中をひっくり返す。

水曜日、とにかく、ひっくり返す。

木曜日、心当たりに電話しまくる。

申し訳ございません……出てきません。
とうとう、上司に始末書を書くことを伝える。
一応、金曜日まで待ってもらえるとなった。

金曜日
可燃ゴミの日。もちろん、中は漁った。

心は晴れない。能登島の空が霞んでいる。

ところで、先日、息子くんの壮行会を行った時、彼に名刺入れをプレゼントをした。パルコのセレクトショップでいいなぁと思うものを買ったのだ。
名刺入れを目当てに行き、それを買った直後に目の前の店を覗くと、またもやカッコイイ名刺入れを発見。コレもいいな、どちらか選ばせるのもサプライズでいいな、ともう一つ購入。俺の名刺入れも年季入ってるし、新しいのにするかな……できれば、後で買ったモノがいいな……。
息子くんは僕の誘導にまんまと乗り、先に買った方を選んだ。後に買った名刺入れは、ちょっとSexyなタイプだから、まぁ、当たり前だ。

土曜日
たまりに溜まった、空き缶とトレーをスーパーへ持っていく。ニトリのでかい袋を2つ、両手は塞がり、自転車では無理だ。いや、それよりも宿無しさんに誤解される。

てくてく歩いて向かう。
犀川に差し掛かかった時、御札が橋歩道に落ちていた。こういうの拾うの良くないんだよな、と思いながら通り過ぎるが、いや、御札はちゃんとしなきゃ、と引き返す。交通安全の神札だった。

スーパーで大量の空き缶をざぁーっと捨てる。しかし、トレーは透明と分けなくちゃならない。何しろ、一年分だ。
一つ一つ仕分けていくと、
アイツがいた。

なんでこんなところにいるんだよ………浮気してごめんな
独り言ち、蒼天を見上げた。
神様に感謝……。

※写真は神札を拾った犀川の橋を渡りきったところでの謎の植物と、あーでもないこーでもないと撮っているヤーマンの足。