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so.raさんのお出かけ先,宿り木の投稿画像

2021/02/13
【瑠璃の冬の物語】その2

茶色や灰色にくすんでいた山々の色が、白みがかった柔らかな緑色に変わる頃、火が消えたようだった瑠璃の家族に、また新しい命を授かった。二人めの子は瑠璃にたいそう似た男の子だった。

『これはまた、赤子のときのお前を見るようじゃ』
父さんは目を細めて嬉しそうにそういった。
色白の肌に、大きな瞳、美しい顔をしたその子は、元気に強い子に育つように願いを込めて『健(たける)』と名付けられた。

健は泣くこともなく、乳を吸ってはニコニコ笑い、手のかからない子だった。長男に注げなかった愛情を惜しみもなく受けて、健はすくすくと育っていった。

けれども、その夏はひどい日照りが訪れた。
作物は枯れ、山の木々もカラカラに乾いて葉を落としていった。村では体が弱ったものから、次々に餓えて死んでいった。人々は草や木の根を食べて飢えをしのいでいたが、やがて川の水すら枯れて干上がって、木の皮をはがして食べるような有り様だった。

瑠璃の家には食べ物があることを知っている村人は、列をなして、食べ物を分けてくれと、毎日のように押し寄せた。

人のいい瑠璃たちは、子どもが死にそうと聞けば気の毒に思い、次々に米、麦、味噌と分けてるうちに、やがて自分たちが食べるものさえ底をつきた。
そして、草を集め、食べられる木の芽を見つけては飢えをしのいでいたが、やがて瑠璃の乳が出なくなってしまった。

それまで、すくすくと育ちニコニコと笑っていた赤ん坊だったが、空腹を訴えて泣くようになっていた。
そして、始めは元気に泣いていた子が、やがて痩せ細り弱々しく泣くしかなくなったとき、弥彦が重い口を開いた。

「実はずっと迷っていたんだが、、」

続く

🍂今日の花 宿り木

🌸よろしかったら、物語の一話【瑠璃の物語】二話【瑠璃の冬の物語】は下のタグからご覧下さいね。
2021/02/13
どうなってしまうのでしょう?お父さんは瑠璃に何を告げるのでしょうか?毎回、so.raさんの物語には惹き込まれます💕💕

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前のまとめに入り切らなかった分。
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場所

植物