9月はもう下旬。朝夕にはようやくの涼しさが。とは言え今年は、日中には残暑がまだ残るが、散歩道の道際の草花らは、すでにその秋色を濃くし始めている---

９月、残暑に観る草花の姿、姿---その６。

ギボウシの様な広い葉を持った草花の中リコリス・インカルナータ。
---久しぶりの商店街を通っての散歩道。
ふと、あるお宅の玄関際の古色のプランターに、ギボウシの様な広い葉を持った草花の中から、薄ピンクに濃い赤紫の筋が花弁に走る気の利いた、粋な花がニョキッと突き出ているのが目に入る。

直ぐにヒガンバナの類いとの思いも、何処かで出逢ったと思いつつその場所離れた。

同類のヒガンバナやキツネノカミソリ等の派手さは無いが、スッキリとした姿と抑えられた色彩を持ち、私の好むところである。

・リコリス・インカルナータ(ヒガンバナ科)
中国原産のリコリス。
花期は8月で、葉は春に出て夏に枯れる。
薄桃色の花弁の中心に、ピンクの筋が入る花が美しい品種。

＜この他にリコリスの仲間として、次のものがある＞
→ヒガンバナ
北海道から琉球列島まで広く分布し、最も馴染み深いリコリス。
古い時代に中国から持ち込まれ、帰化したものと考えられている。
現在日本に自生しているヒガンバナはすべて遺伝的に同一で、中国から伝わった一株が分球によって広まったと推察されている。

→ショウキラン
「ショウキズイセイ(鍾馗水仙)」,「リコリス・オーレア」とも呼ばれる。日本南部、中国に分布するリコリス。
花期は10月中旬～下旬で、鮮やかな黄色の花が美しい品種。
細い線形の葉は花後に出て、翌夏には枯れる。
日本では四国から沖縄にかけて分布しており、寒さにはあまり強くない。

→シロバナマンジュシャゲ
ヒガンバナとショウキランの交雑種だと考えられている。
花期は9月上旬で、花後に葉が出る。
花弁があまり反り返らず、葉はやや幅広い。多くの変異が知られており、花色は白、クリーム色、薄桃など性質はヒガンバナによく似る。

→キツネノカミソリ
日本、朝鮮半島に分布するリコリス。花期は7月中旬～下旬。葉は早春に出て、夏頃に枯れる。日本では本州、四国、九州に分布。変種にオオキツネノカミソリがあり、関東以西で分布が見られる。

→ナツズイセン
中国雲南省原産で、古い時代に渡来したと考えられている。
花期は8月～9月上旬。
葉は春に出て夏に枯れる。
花が大きく、淡いピンクの花弁はやや青味を帯びて美しい品種。

＜リコリス全般について＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本、韓国、中国南部を中心に、東南アジア、南アジアに10～20種が分布するヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)の多年草。

日本には、ヒガンバナや、キツネのカミソリ、ナツズイセン、ショウキランなどが自生。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

ヒガンバナのイメージが良くないせいもあり、日本では好んで栽培されることはあまりなかったが、欧米では花の美しさ、育てやすさから人気があり、原種の他、多くの園芸品種が流通。

リコリスの花期は品種によってやや異なるが、7月下旬～10月上旬。

花期になると、地面から花芽を真っ直ぐに伸ばして、茎の頂部に散形花序を付け、短い花柄のある花を4～10輪咲かせる。

花は花序の外側に向いて咲き、花弁は細長く反り返り、長い雄蕊が突出す。

花色は赤、白、黄、ピンク、オレンジ、紫、複色。

(出典・参考; ガーデンニングの図鑑)